衆議院選(兵庫1区)

〜実録ドキュメント「幻の公開討論会」〜


井坂信彦(神戸市会議員)

 

  なぜ公開討論会をするのか?

 地方議員の多くは、自民党や共産党など、どこかの政党に所属しています。そして衆議院選挙では同じ政党の国会議員候補の下部組織として、運動員を集めたり票を集めたり、忙しく動き回ります。

 今回、無党派議員である私は、特にどの候補を応援するかは決めませんでした。しかし、「選挙の投票率を上げたい」というのは私の昨春の立候補時からの願いであり、今回もそれを目標にいろいろ動き回ろうと思っていました。

 議員になって初めて実感したことですが、政治家は投票に行く有権者を恐れます。有権者は政治家の人事権をにぎる雇用主ですから、政治家は投票権(政治家の人事権)を行使する有権者には逆らえません。ところが最近は、特定の企業や宗教・政治団体の人ばかりが積極的に投票に行くので、政治家は自然に、そのような組織にばかり目を向けることになってしまいます。

 投票率を上げるために実行しなければならないことは以下の二つです。まず一つは、不在者投票の制度について、なるべく多くの方に知っていただくこと。そして二つめは、各候補者の政策や考え方など、有権者に判断材料を提供すること。三宮で「選挙に行こうパフォーマンス」をしたり、いさか新聞に記事を載せたりしましたが、「公開討論会を市民が主催する」という動きには1年前から興味を持っていて、地球市民会議のホームページを見ながら、神戸でも開催したいと考えていました。

 実録ドキュメント

 

5月下旬

地球市民会議のホームページを久々に見る。
「兵庫1区は開催準備中」と書いてあったので安心。

6月5日
14:00

地球市民会議の事務所に電話。
「兵庫1区はあるグループが準備している」とのこと。
「手伝いたいので、そのグループの連絡先を教えてください」
と頼むが断られる。
こちらの携帯番号だけ伝えて電話を待つが、かかって来ない。

6月10日
 18:30

兵庫3区の公開討論会を見に行く。
自民党候補者の辞退により、野党候補者ばかりの出席となる。
討論・反論がなく、やや不完全燃焼。
しかし短い準備期間でここまでできたのはスゴイ。

6月11日
 15:00

三宮フェニックスプラザ前で「投票に行こう」のビラ配り。
若い人はなかなか受け取ってくれず、投票率を上げることの難しさを実感。

 17:00

次回18日のビラ配りのミーティング。
その中で公開討論会の話が出たので、「今週、動いてみます」と答える。

6月12日
 12:00

兵庫3区公開討論会の実行委員長から「ぜひ1区でも」というメール。
「まずは候補者の同意を取りつけます」と返事を送る。

6月13日
 16:00

地球市民会議の事務所に電話。
「兵庫1区でこれまで動いていたグループは断念したらしい」とのこと。
すでに公示後なので、合同の個人演説会という形式で行う事を決意。
趣意書や参加依頼書などをメールに付して送っていただく。

 18:30

東灘区の石井候補(民主)の事務所を訪問。
「スケジュール管理はすべて元町の事務所でされている」とのこと。
他の候補の事務所の場所も教えていただく。

 19:30

東灘区の藤末候補(共産)の事務所を訪問。
「夜は19日と22日しか予定をずらせない」とのこと。
比例区の候補でもあるため、かなり忙しそうなご様子。

6月14日
 9:30

朝のビラ配り後、元町の石井候補(民主)の事務所を訪問。
「夜の予定は全て埋まっているので、土日の昼間にして欲しい」とのこと。
実際に予定表は毎晩びっしりだった。

 9:50

藤末候補(共産)の事務所に電話。
「土日の予定は確認でき次第、連絡する」とのこと。

 10:00

元町の砂田候補(自民)の事務所を訪問。
ボランティアの方しかいらっしゃらなかったので、
参加依頼書をお渡しし、伝言をお願いする。

 12:40

藤末候補(共産)の事務所から電話。
「18日の11時〜13時または14時〜16時にして欲しい」とのこと。

 14:00

兵庫3区の実行委員長が討論会のマニュアルをお送りくださったので、
昼食をしながら目を通す。

 15:00

石井候補(民主)の事務所から電話。
「18日は午前中にしてくれるとありがたい」とのこと。

 15:10

電話帳で灘区・東灘区・中央区のホールに片っ端から電話。
やはり4日後の日曜日に空いているホールなど無く、すべて断られる。

 16:00

あきらめて、ホテルの宴会場を探すために、バイクで三宮駅周辺に行く。
ホテルの宴会場はホールに比べて値段が高い。

 16:30

勤労会館のホールが18日の午前中だけ空いていた。
電話で聞いたときには「日曜は全部埋まってます」と言っていたのに。
夜8時まで、電話で予約ができる事を確認。
討論会の日時は「18日10:30〜12:00」に決定。

 16:40

砂田候補(自民)の事務所に電話。
「返事はもうFAXでお宅に送ったはずですよ」とのこと。
電話口で返答しないところを見ると、多分、不参加だろう。

 16:45

いさか事務所に電話をして、砂田候補からのFAXの文面を読んでもらう。
「有権者の皆様の政治への参加意識を高めて頂くため、
私どもは選挙区内各地区で個人演説会を開催し、
ビジョンと政策をアピールさせていただいております。
従いまして、マスコミ受けを狙って公開討論会に出席させて頂く希望は
持ち合わせておりません。」とのこと。
当初の理想である、全員参加の公平な討論会ができなくなり、がっかり。

 17:00

地球市民会議の事務所に電話で相談。

 17:20

市役所の記者クラブを訪問。
全員参加でない合同個人演説会の場合、
実名の有無など、どのような形式で記事に掲載されるのかを確認。
さらに、事前告知などの広報記事の掲載を各社に依頼。
「事前告知は掲載するが、開催後の記事は約束できない」とのこと。
「なんとか砂田候補を説得し、討論会を開いてください」と励まされる。

 18:10

砂田候補(自民)の事務所を訪問。
「公示前だったら応じられたのだが・・・」と再び断られる。

 18:30

市の選挙管理委員会に電話。
全員参加でない合同個人演説会について、
広報活動の規制などについて問い合わせ。

 18:45

石井候補(民主)の事務所に電話。
「18日10:30〜12:00勤労会館」で良いかどうか、最終確認。
「砂田候補(自民)の不参加などについて、
候補者本人と相談して、22時までに返事をする」とのこと。

 18:50

藤末候補(共産)の事務所に電話。
「18日10:30〜12:00勤労会館」で良いかどうか、最終確認。
「砂田候補(自民)が不参加でも、ぜひ民主党と討論したい。
スケジュールを再確認して、折り返し返事をする」とのこと。

 19:10

徳田候補(自由連合)の事務所を訪問。
なんと、石井候補の事務所の1フロア下にあった。
「趣旨には大いに賛同するが、候補者と相談して返事をする」とのこと。

 19:30

番組内での事前告知をお願いするために、ラジオ局に明日のアポイント

 19:45

藤末候補(共産)の事務所から電話。
「予定通り参加したい」という嬉しいお返事をいただく。

 19:50

見切り発車で勤労会館を予約。
「アンタ、ほんまに12時までに終われるんか?」としつこく聞かれる。
最初から最後まで、態度が横柄。

 20:50

石井候補(民主)の事務所から電話。
「事前告知はきちんとできるのか?
開催翌日は本当に記事が掲載されるか?」という鋭い質問。
先ほどとは違って、なんだか参加が怪しい雲行きに。

 22:20

徳田候補(自由連合)の事務所に電話。
「先ほど、不参加のFAXを送りましたよ」というお答え。
「不確定要素が多くあるから」というのが理由。
4人の候補のうち2人が不参加のため、今回は断念する事を決意。

 22:30

石井候補(民主)の事務所に電話。
公開討論会を断念したことをお伝えし、お詫びする。

 22:35

藤末候補(共産)の事務所に電話。
公開討論会を断念したことをお伝えし、お詫びする。

6月15日
 9:00

勤労会館にキャンセルの電話。
キャンセル料を免除してもらうよう交渉するが、
途中から替わった所長らしき人の役人的な対応がとにかく不愉快。
結局2万5千円を支払うハメに。

 次回に向けての反省

 今回の最大の反省点は、なんと言っても動き出すのが遅すぎた事に尽きます。地球市民会議のホームページに載っていた「兵庫1区は準備中」の文字に遠慮して、全てをその「幻の実行委員会」に任せてしまっていました。

 公示後の合同個人演説会という形式は、ビラやマイクで広報ができないなど、非常に選挙管理委員会からの制約が多くなってしまいますので、1ヵ月前から準備を始めて、公示直前に実施するのがベストだと思いました。

 もう一つは、急なことでFAXやメールでは間に合わなかったからとは言え、電話で個別にスケジュール調整を行ったことです。同時に日程をお伺いしないと不公平になりますし、事務所の方に何度も電話を差し上げる事になって迷惑をおかけしました。

 他にも細かい反省点はいくつかありますが、今回、各候補者の事務所を訪れ、電話で連絡を取り合う中で、各候補者の事務所の空気や思想を肌で感じることができました。


 以上の反省点を踏まえ、次回の大きな選挙(恐らく来秋の市長選)では、もう一度、公開討論会の開催にチャレンジしたいと思います。
 







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更新日 2000年12月7日